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蛟 (みづち)
 妾(ワタシ)は眠っている。もぅ、随分長い時間、こうして微睡んでいる。和えやかな覚醒と、夢幻の行来を繰り返し乍ら、長い時間を過ごしている。

 その夢の羊膜を破るように、漢の声が響く。
「お前は、独りでそんな場所にいて、淋しくはないのか? 恐ろしくはないのか…?」

 あの漢は何を呼ばわっているのか…? 一体、何を云っているのか……?

 はたと気付く。

 覚醒する。

 妾は穴蔵に横たわっている。いや、穴蔵一杯に長々と其の身を畝らせ、のたうたせる……蛇体だ……。暗い穴蔵の中を見渡すと、百足や正体の解らぬ蟲が蠢いている。そして、暗闇に薄ぼんやりと乳白色の鱗が虹色の燐光を放っている。

 何と云う事だろう、妾は、ワタシは蛇、だ……。

 急にそれら全てが恐ろしくなる……。逃れる為に、必死で外に這い出そうと薄明かりの射す方に進むが、格子の扉で前方は塞がれ、外に出る事が出来ない。絶望感に打拉がれたとき、
 「お前をそこから出してやろう……」
 また、漢の声がする。抑揚の無い、感情の読み取れない声。しかし、どこか懐かしい響き。

 あぁ、此処から出られるのなら……

 「出たいか…?」

 出たい。一刻も早く……

 「ならば、吾が……」

 あぁ、聞き取れない。何を謂っているのだろう……。

 夢が途絶える前に、封印は解かれる。

 垣間見た漢の顔は、いつか、妾を泉に沈めた、あの冷たく美しい漢の顔だった……。


†こんな夢をみた† : comments(0) : trackbacks(0) : 揚翅 (ex. Sister Strawberry) :
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