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薔薇の憶い出
 たぶん、随分昔の話。彼は憶えていないだろう。

 籠の鳥のつかの間の自由。

 あの夜、供も連れずに抜け出した

 細い月の照らす五月の庭で、咲染めたドッグローズの茂みの細く細かい刺にベールを捕られてしまった。

 姿を隠す為のベールを図らずも野薔薇に剥ぎ取られ、かといって、咲き染めたばかりの花を傷つけるのも心苦しく途方に暮れていると、その人が現われた。

 ベールも微細な刺も傷つけず、丁寧に絡め捕られたベールを外す長く繊細な指。月灯りに、濡れた様に光る蜂蜜色の髪。柔らかな金色の曲線の下で殊更柔らかに微笑む優しく静かな瞳。

 言葉も交わさず、礼すらそこそこに、逃げる様に彼から立ち去った。きっとその後も再び遇ってはならない人。

 擦れ違ってもそ知らぬ振りで、優しい笑顔を幾度も傷つけた。

 あの日、恋に堕ちた……そう一言、貴方に告げる事が出来たら。

 あまりに昔の事で、貴方はとうに忘れてしまったでしょうけれど。

 刺ではなく、その甘やかな香りで今も不義理を責め立てる。

 苦く切ない 薔薇の思い出。



†こんな夢をみた† : comments(0) : trackbacks(0) : 揚翅 (ex. Sister Strawberry) :
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